投資には勝利よりも勝ち誇るに値する敗北がある

失敗に学びながら投資で一本立ちを目指すフリーランスの日記

太陽光投資は儲かるのか?

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太陽光投資は儲かるのか?

一戸建ての屋根につけるモノではなく、
50kW未満の産業用低圧に区分される太陽光投資。
3.11以降しばらくは、民主党(当時与党)が原発からのクリーンエネルギーへの転換を政策として押していたこともあり、
融資してくれるところも多く、イメージも良かった太陽光発電投資。

当時私はサラリーマンを辞めて一人で会社を始め、
4年目に入りようやく独立に生活が馴染んできた頃でした。
会社の会計、税務にもう一工夫できないかと節税商品を探している時に、
太陽光発電投資に出会ったのがきっかけでした。

どんなものなんだろうと太陽光を調べ始めると、
なんか儲かりそうな利回り、
20年の電力買取保証、
管理も不動産より楽そうで、意外といいんじゃないの?

なんせ国の政策で始まったわけだから、
ただの民間投資よりも税金が投入される(もしくは有利な節税効果がついてくる)
分投資家が儲かる確率は高いはずだ。
そう思って私は2014年に太陽光発電投資を本気で調べ始めました。

最悪収支がトントンでも節税効果の恩恵は得られるのでは、という結論に至り、
はじめることにしました。
昨年も1基増やし、
現在2基の太陽光発電を運用しています。

今は世間では太陽光関連の会社が倒産したとか、
電気代の高騰の原因だとか、すっかりイメージは悪くなりました。

今まで融資を行っていた様々な金融機関もぱったりと融資をやめて今や
そんな融資枠はなかったかのような程になっています。

世間一般の人にしてみれば、もはやあやしそうな投資をやってる人、みたいにすら思われてそうな気もします。

でも、イメージなんて投資にとっては2の次です。
投資って別に人にどうこう思われたいからやるんじゃないですよね。

そう、儲かる(と思ってる)からやるんです。

太陽光投資が結果的儲かったのかどうかは
中古市場での売却という選択肢が今後生まれて、売却しない限り、
20年後にしか確定しません。

でも、私の運用(太陽光をはじめて2年経ちますので)状況をみれば、
現状は儲かりそうかどうかは、わかるのではないかと思います。

検討している人に参考にはなると思いますので
できるだけ具体的に書いていけたらと思います。

具体的な物件と年表

九州に土地付き(賃貸)太陽光を購入(頭金+公庫融資)
設備2,000万+土地賃料20年300万 51kW/36円案件 グリーン税制による一括償却を利用
2014年6月に1号基(九重)の手付け、工期にあわせて入金
2014年12月末に1号基(九重)がスタート。

岐阜に土地付き(賃貸)太陽光を購入(頭金+公庫融資) 
2,400万+土地賃料1年20万 53.45kW/36円案件 生産性投資による一括償却を利用
2015年6月2号基(高山)に手付け、工期にあわせて入金
2015年12月末に2号基(高山)がスタート

どちらも新電力への売電オプションを使わず、九電や中電に買い上げてもらっています。
私は東京在住なので普段は遠隔監視装置のデータをネットで見て、日々の発電をチェックしています。
ちなみに電力会社からの入金は一度も遅れたりしたことはありません。

それではそれぞれの発電所の現在までの状況を書いていきます。

 

1号基九重発電所


(購入電力量は1日から月末までの合計/購入電力量金は検針日締め)

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2016年度は、12月に遠隔監視がサーバートラブルのため見れなくなってしまいました。
データの読み込みが復旧していないため、正確な数字はわかりません。
なので20日締めの検針ベースで考えます。
1年目シミュレーション 2,323,002円  実績 2,436,009円  104%
2年目シミュレーション 2,304,418円  実績 2,420,738円  105%となっています。

2年目の方がシミュレーション比が良いのは、
シミュレーションが0.5%づつパネル劣化による発電量の下落と、
サーバートラブルのため検針ベースにしたためずれ込んだ日程の発電量がよかったからでしょう。

1号基九重発電所の利回り

この物件は2016年度に借入れを完済したため、
物件購入価格(融資利息含む)が確定しました。
そこから投資元本を計算します。
設備2,000万+土地賃料20年300万に
融資の利息、視察の経費、印紙代、諸々足していきます。
その合計が24,778,420円。
これが正確な物件購入価格として考えます。。
販売価格に7−8%が購入にあたってさらに追加費用としてかかっていることがわかります。

この金額を20で割って1年あたりの投資元本に当たる金額を出すと、1,238,571円。
そこにランニングコストを加味して、売上高から利回りを見てみましょう。

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3%以上で税金繰り延べ効果の節税がついた運用なら合格点、と思っています。
不動産と太陽光はよく比べられますが、
太陽光には20年の家賃保証(家賃の引き下げ見直しなし)が付いているようなものなので、
不動産に比べて安心感があります。
不動産投資で家賃保証をつけることはできても、
保証する家賃の見直しをしない20年保証なんてものはおそらくどこにもありません。

天災による倒壊や気候変動で太陽が降り注がなくなれば破綻するリスクはありますが、
不動産の空室や物件劣化のリスクに比べれば低いのではないかと思っています。

利回り3%というと低く見えますが、
私個人の算出方法で出した利回りには
購入価格に、個人的に現場を見にいった際の交通費とか、書類の印紙代とか、とにかくこの太陽光を買わなかったら使わなかったであろうお金が入った全ての価格で出した利回りです。
販売価格よりも当然購入価格は上がります。だから利回りはパンフレットより当然下がります。
ちなみにこの物件のネット利回りは8.7%で表記されて出されていた物件です。

不動産投資と比較する場合はかかるであろう費用を同じように算出して考えてください。

エアコン等の備え月家具や水道、給湯器等の故障や取り替え代、
修繕積立金を値上げのバッファを見て考えたり、
空室になった場合の賃料の空白期間や募集にあたっての費用。
予測しにくいものが多いですが予想して見てください。
そうすれば3%というのがそれほど低い利回りではないと感じてもらえると思います。

実際にはそこからさらに黒字であれば所得税等税金がかかるので
せめて販売資料の利回りを鵜呑みにするのではなく、
細かく経費を上積みした利回り予測で考えないといけないなと思っているので、このような算出方法にしています。

物件によって価格に含まれているパッケージ内容が違うのでそれぞれ計算しないと行けませんが、
私の買った物件は動産保険、休業保険、遠隔監視、月々の通信費が含まれていた販売価格だったので、
パンフレットに書かれている価格に追加で加えた経費は少ないほうだと思います。
それでもパンプレットのネット利回りから4−5%落ちています。
計算方法によってはパンフレットの利回りの半分くらいになる場合もある
と思うくらいでいいのかもしれません。

思っていたより利回りが良くても困りませんが、
思ったより悪い利回りだと運営していくのにとても困るので。

ちなみにこの2年は管理費がサービスだったため、
来年度からさらにランニングコストとして年間10万がのっかってくるので
利回りもう少し下がっていくと思われます。

3%というのは投資に価する利回りなのか?

ハイリターンの投資を狙う人にはもの足りないかもしれませんが、
20年かけて3%を積み上げれば、実はそれなりの金額になっていきます。
年間平均の利益を仮に80万(今後の発電状況が下がると想定して低めで見積もります)として考えた場合、
20年で1,600万の利益が上がることになります。

実際にはここから消費税や所得税もかかってきますし、
予期せぬ機材トラブルによる出費もあると思います。

しかし、パネルもパワコンも20年保証、動産保険、休業保険も込みでの物件購入でしたので、
保険対象外の、戦争が起こって太陽光発電所にミサイルが撃ち込まれる、
みたいなことがない限り、計画が大きく狂ってしまうような出費は出ないのではないか?と考えています。

 

20年で儲かる額は?

20年間で1,000万〜1,600万くらいの利益を見込める投資なのではないかと考えています。
20年で見れば大きいですが、1年で見れば年50万〜80万程度の儲けなので、心労と、トラブルがあった時の対応等も考えると楽して儲かる、とは言えなそうです。

太陽光投資に向いている人は?

手堅く、そしてリスクを抑えながら、現物の投資が良い人にはありだと思います。
もうすぐ終わってしまいますが、税の繰り延べ効果がある節税が使えますので
有効に使える法人には節税保険に替わる選択肢になると思います。

私としても基本20年持ち続けて運用する予定なので
来年以降もトラブルなく運用したいものです。

 

2号基高山発電所

(購入電力量は1日から月末までの合計/購入電力量金は検針日締め)

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実は36円案件が品薄になり、生産性設備投資の購入期の100%償却ができる物件として、売り手市場の時に高値づかみした物件です。。。
まあ想定の範囲内ではありますが、
1号基九重発電所のように上振れとはいきませんでした。

1年目シミュレーション比 99%
入金ベースで考えると 93%
検針が5日の月末払いなので毎月の1−5日の振れ幅でこれだけかわるので安定しているようなしてないような。。。

2号基高山発電所の利回り

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劇的に低い利回り。2%切ってます。
順調に回って20年で800万の利益です。
しかも九重はパワコンが20年保証ですが高山は10年保証。
パワコンが10年目以降故障して取り替える場合は
さらに利益が削られることになります。
ちなみにこれも1号基九重発電所と同じくらいの、
ネット利回り9.0%で売られていた物件です。

2号基はなぜ利回りがでなかったのか?

そもそも販売価格が1号基に比べて高く、
管理費、電気代、通信費といったランニングコストと賃料が1号基 九重発電所に比べて高いことが販売価格の差に加わり、利回りに差が出ました。

これは購入時に予想できていたことでもあります。
だまされて蓋を開けたらびくり、ということではありません。

利回りが低そうな2号基をなぜ購入したわけ

投資的にはなんでもう少し物件を吟味しなかったのか。。。
と思ってしまうところですが、太陽光投資には節税のオプションがあります。

私が手がけた2015年頃は、太陽光投資に見直し等々で逆風が吹き、
連系が決まっていて償却できる36円物件は希少になっていました。

しかも節税も時限の制度なので今後は使えなくなる、というふれこみもあり
駆け込み需要に沸いていました。

せっかく見つけた節税商品なので、もう1基、節税として使えなくなる前に買いたいという欲求から、投資の利回り面は目をつむってでも
買った方がいい、という経営判断もありました。

結果、高値づかみした物件でもプラスのリターンが見込めているのは、不動産と違って
FITによる買取保証がある太陽光投資の特性が影響してるのだろうと思います。

2つの太陽光を運用し始めて

1号基は成功。2号基は節税メインと割り切って投資。
2基合わせて2,000万の利益を20年で取りに行けたらいいなあと思いながら運用中です。

ランニングコストをきちんと計算しておかないと、
20年となると合計はバカになりません。

太陽光はマンションほど管理に気を使わなければいけないことはありませんが、
大体が辺境の地にあるのでトラブルがあった時どう対応するか、コストと合わせてどう考えるかが利回りに思ってた以上に影響します。
これは2基持って比較できたことで身にしみてわかりました。

太陽光投資をやって見て感じたのリスク/リターン

太陽光は儲かるのか?というテーマに戻りますと、
儲かりますが、大きくは儲かりません。
だけど物件を突き詰めれば、どれくらいの利益が上がるかは比較的計算しやすく手堅いです。
ただし不動産のように太陽光を担保にお金を借りることはできないため
投資規模の加速はしません。といったところでしょうか。

私が体感している投資リスクレベルを、他の投資商品で例えるならば
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現金/定期預金よりリスクは高く、
株式よりもリスクが低く、
米国債とかオーストラリア債みたいな海外先進国の外国債権と、同じくらいでしょうか。
(あくまで個人の体感です。)
それを、円建てで、物件によっては融資のレバレッジを効かせて取り組め、
配当が毎月分配で受け取れる。
そして、購入時期が間に合えは節税オプションもついているという商品だと考えるといいかもしれません。

太陽光投資は今から参入しても大丈夫なのか?

36円の物件がなくなろうとして、これで太陽光ブームは終わったなと思った2015年末。
私も2号基高山発電所で太陽光投資は打ち止めかな、と思っていました。

しかし意外や意外。ここからさらにもう一段、
2016年になって急に太陽光投資市場が活気付きます。

生産性設備投資の延長により、節税の駆け込み需要の対象になる物件が増えたことで駆け込みの第2波が来たのです。
いろんな物件が市場に出ました。
40円物件(2017年現在はもう見かけなくなりましたが)、36円物件、32円物件、27円物件、24円物件と
すべてのFIT価格の物件を目にするようになりました。

昨年、私ももう終わりにしようと思っていたところに40円物件の情報が来て、思わず手付けを入れて工事を待っている最中です。
工事が予定通り進んでおらず、現状ではちょっとどうなるかわかりませんが。。。
3月の完工に間に合うように進んでいくのを祈るだけです。

どんな物件を選べばいい?

太陽光投資も他の投資と同じで
どんな人がどれを買っても儲かる、というものではないと思います。

しかし、FITが下がった27円案件や24円案件がダメだというわけではありません。
FIT価格が安い分、そもそもの物件価格が安かったり、
パネルの過積載による発電量を増強して収益が見込めるようにしたり
ある意味予算に応じていろいろな選択肢が一番ある時期なのかもしれません。

今から始めてみようという人は
ぜひ、かかる経費全てを洗い出すつもりで投資資金を計算し、利回りを考えてみるといいと思います。
発電量がシミュレーションから大きく乖離することは1カ月単位ではあるものの、年間で見れば
大きな誤差は今の所ないです。
この物件が生み出してくれる収益は不動産投資よりはるかに予測しやすいと思います。

事故や災害等で発電が何日も止まってしまうと予測通りとはいかないのかもしれません。
しかしコストはかかりますが、そういう事態に対して保険でカバーすることはできます。

自分の取れるリスクを考えながら物件を選ぶことができれば
かなり安定した投資として運用していけると思います。

今回はこの辺で。


この記事はメガ発のコラムに寄稿したものを加筆、修正したものです。

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